どうやらホラーゲームの世界に迷い込んでしまったようです
帰り道。

もうすっかり日も落ちて、薄暗い夜道を二人で歩く。


僕の名前は、星岡 明。

隣を歩く彼女の名は、佐藤 夏生。



なんてことない、どこにでもあるような普通の名前。


「物語の始まりも、こんな夜だったんだよ」


「あぁ、さっきのゲーム?」



そう言えば、さっきまでゲームの話をしていたんだったな。



「……うん」



遅れて発せられた返事。

心無しか、声もか細い。



「まさか、怖いのか?」

「……うん」



先程と同じように少し間を空けて返ってきた答えは、恐怖を表すものだった。


ついでに服の裾まで引っ張られた。



「ねぇ。送って、くれない?」



そんな下から目線でお願いされたら、断れるはずもない。



「仕方ないな」



怖くなるなら、ホラーゲームなんて最初からやるなよな。

僕は夏生の頭を軽く小突いてから、手を差し出した。




「服、伸びるからさ。握るなら手にしてくれない?」


「あ、うん……ありがと」



ぎこちない会話を交わしながら、僕は夏生の手をしっかり握って歩みを進めた。


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