ヴァージンロード <続>Mysterious Lover
11. 乗り越える過去
「本当に、前もって説明しておかなくてよかったの?」
新幹線の中、キヨスクの袋から駅弁を取り出しながら、奈央さんが心配そうに聞く。
「いいんだって。もう、当たって砕けろ、って感じ」
オレは不安を打ち消すようにわざと明るく言った。
オレたちは、これから香澄さんに会いに行く。
恋人を紹介したい、というと、香澄さんは大喜びしてたという。
「どんな人なの?」って電話口で散々聞かれたらしいけど、
奈央さんは約束通り、オレの年齢や留学中であること以外、何も話さないでおいてくれた。
ショックを和らげるなら、事前にオレが何者なのか
奈央さんの方から説明してもらった方がいいのかもしれない。
でもオレは、自分の口からすべてを話したかった。
そうしなければならないと、思ったから。
たとえ、どんな厳しい言葉を投げられても、
そのすべては、オレが受けなければならない罰——
際限なく膨らみそうになる暗い想像をシャットアウトして、
オレは自分の駅弁を開いた。