ヴァージンロード <続>Mysterious Lover

「そういえば、さっき言ってたチョコ味のフレンチトーストって、なんかおいしそう。クックパッドで調べたら作り方載ってるかなあ?」

「嫌だ」
オレは奈央さんの背後から手を伸ばして、不満たっぷりに冷蔵庫をぱたんと閉めた。

「え?」

「今すぐ食いたい。奈央さんのチョコ」
不純な動機をにじませて、彼女の耳朶に唇を這わせながらささやく。

「え……と、だだだって、まだどこもお店開いてないし……」
戸惑う奈央さんをくるっと反転させると、冷蔵庫に押し付けて、
その胸元に唇を寄せた。
「オレがほしいのは、これ」

シャツのボタンをはずし……露わにした肩へ、かぷっと食いつく。
「ちょっ……拓巳っ? わたしはチョコじゃな……いっ!」

白い肌に散った紅い跡、おそろしく煽情的なその印を、舌でたどる。
「こんなに、甘いのに?」

朝の清浄な光の中、ゆっくり、たっぷり、不埒に味わう。
舌がとろけるほど甘い、肌を。
オレにとっては、チョコレートなんかよりずっと——

「や……もぉっ着たばっか……り……」
奈央さんの息は、すぐにかき乱れて。浅く弾み始めた。


ああやばい。
ほんとにオレは、この人に夢中なんだ。
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