ヴァージンロード <続>Mysterious Lover

『ほっとくと彼女、奪われちゃうかもよぉ? そしたらあたしたち、つきあっちゃう!? いいわよぉタクミなら。なぐさめてあげる。あたしはいつでもウェルカムっ!』
けたたましい笑い声が、段々遠ざかっていく。

奈央さんが……浮気、だって?

まさか。
まさか……?



オレはベッドの中で何度も、寝返りをうった。
睡魔は、もう寄り付こうともしてくれない。

仕事が忙しいって。
土日もなかなか時間がないって言ってたけど。

本当に仕事なのか?
もしかして……男、と会ってたりとか、ないよな?

頭の中で、不吉な想像ばかりが、ぐるぐるととぐろを巻く。

奈央さんの仕事は、人と関わることが多い。
広告代理店、クライアントや出版社、それら企業の営業や広報の社員。
撮影ともなれば、モデルやヘアメイク、スタイリスト、カメラマン、そしてアシスタントたち。

毎日、彼女がどれだけの男の目に触れているか……。
その中に、彼女を気に入る男がいないと、どうして断言できる?
あの、美しい人を——
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