私を作る、おいしいレシピ
4.突然にやってくる別れ

それから、時は一か月ほど過ぎた。
二月、私は寒い廊下をランチバックを抱えて移動する。


「東條!」


呼び止められて振り向くと、そこにはメガネの生徒会長・二宮くんがいた。


「会長、なに? 予餞会の話?」


会長は同じ二年生だけど私とは違うクラスだ。でもお互い一年の時から生徒会活動をやっているので、案外クラスメイトより話している時間は長いかもしれない。
生徒会活動は放課後がメインなので昼休みに呼び止められるのは珍しいんだけど。


「いや。……なんか変な噂聞いたんだけどさ。東條がうちのクラスの仲道と付き合ってるとか」

「仲道くん?」


誰かに一緒にいるところを見られたのか?
でも付き合ってはいない。どちらかというと私とマコちゃんと彼と合わせて家族みたいなものだ。


「あ、違うよな。悪い悪い、変なこと言って」


私が反論する前に、会長は勝手にそう結論付けた。
別にいいんだけど、なんか釈然としない気分。


「付き合ってはいないけど、話はするよ。結構いい人だよね」

「え?」


話を蒸し返した私に、会長が意外なとでもいうように呆けた顔をした。


「いやいや、それはどうかな。騙されてるんじゃないか? 君だって見たろう? あの格好。ただでさえレベルの低い学校だといわれているのにあんな格好をしてわざわざ品位を落とすことはないだろう。できないやつはできないやつで大人しくしていればいいのに」

「確かにあの格好はどうかと思うけど、特に悪さをしているわけでもないし、会長が突っかかってくる理由がわからない」
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