男嫌いな女王様とクールな臣下
「素敵、とても素晴らしいわ」
衣装を着た春が輝いて見える。

花嫁は、やっぱりこうでなければ。

友達の幸せそうな姿が目にしみて来る。

好きな衣装を着て、好きな人に嫁いでいく花嫁って、こんなにきれいなんだと思うと、朱音は涙が止まらなくなった。

「どうしたのよ。こんなところで、あなたが泣くなんて」


「だって、とっても素敵なんだもの。私、あなたが幸せそうで。とても嬉しくて」

「変な人ね。そんなに褒めてくれるなら、これにしようかな」


「うん、そうするといいよ」
朱音は涙を拭いて、春妃のそばに行った。

「本当にきれいよ、あなた」

「来てくれてありがとう。朱音もうすぐお昼でしょう?一緒にどう?」

朱音は首を振った。

「うん、実は直哉にあなたの事教えてもらって、そうしたら……」

「ここに駆け付けるっていうのね?」

「そういうこと」

「だったら……」

「私は、これから仕事に戻るから二人で一緒に食事してってよ。のろけられると辛いもの」

「ええ。分かったわ。でもよかった。また、直と連絡取るようになったのね?」

「そうだね。私の方が落ち着けば、直哉も安心すると思う」

「落ち着くって?」

「一般的な意味よ」
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