お見合いですか?
 金曜日の夕飯を食べ終わったころ、ぽつりと、憂うつそうに問いかけてきた。
「なぁ、愛実。結婚って何の為にするんだ?」
「は?」彼が、今更そんな事を言い出すとは思わなかった。
言うなら、お見合い前に言えよ!という話しだ。
そんな、私の苛立ちにも気付かず、彼は更に言い募る。
「愛実はさぁ、俺と結婚したい?それとも・・なんていう・・」

キレた。まだ続くであろう質問をぶった切った。
「嫌なの?」
彼は、やっと、向かい合って座っている私の目を見た。
その目を見据えて私は、言い放つ。
「嫌なら、辞めれば?・・・私がしたいって言えば結婚するわけ?だったら、しなくていい。」
立ち上がり、夕飯の後片付けをする。
その間彼は、ずっと無言だった。

もう一度、ダイニングテーブルの椅子に座り、彼に優しい口調を心掛け、話した。
「悠斗さん、寝室を戻そう。私、今日から和室で寝るから。土日は出掛けるから、よく考えて・・・ねっ?・・・月曜日からは、普段通りでお願いします。」
ゆっくりと、席をたった。
彼も、徐に、重たい腰を上げた。
立ち上がった後、テーブルに手をついたまま、下を向いて「ごめんな、愛実。」
そう言って、静かに立ち去った。

 何についての謝罪だったんだろう。
テーブルのそばに立っていた私は、力がぬけ、また椅子に座るはめになった。
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