お見合いですか?
 ああ、これは少し照れてるんだろう。
頬を抑えたり、髪を耳にかけたりして、落ち着きがない。
そんな彼女も可愛いなぁ、と思いながら、
「夕飯どうする?食べてくか?」と、聞いた。
「大丈夫ですよ、さっき少し寝たから、回復しました。」そう、笑顔を作ってみせる彼女が可愛くて、「そうか。」と言って、頭をポンポンと撫でた。

 そして、漸く車を動かした。

 部屋について、彼女が夕飯を作っている間に、俺が風呂掃除してお湯を沸かす。
最初の頃になんとなく決まったことだ。

 2人で、夕飯を食べると、だいたい俺が先に風呂に入る。
 風呂から、あがると晩酌タイムだ。
これが、至福の時だ。
だけど、今日はやらなきゃ、いけない事がある。スマホを取り出し、兄貴に電話をかけた。
「珍しいな、お前から電話かけてくるなんて。」
「兄貴、久しぶり。わりぃんだけど、真理に替わってくんね?」
「はぁ、何で?」
「今日、康太に送ったメールの件で、話が聞きたい。」
電話の向こうで、暫くやり取りがあり、真理がでた。
「悠斗?久しぶり。どうしたの?」
「どうしたの?じゃねーよ。お前、愛実に変な事吹き込んでねーだろうな。」
「変な事なんて、言ってないよ。ただ、あう度に違う女の子を連れてたような気がするって言っただけだよ。」
「充分吹き込んでんじゃねーかっ!」
「ええ、事実だもん。」
「うるせーよ、もんとか言うな、気持ちわりぃ。」「はぁ?もっと在ること無いこと言っても良かったんですけど。これでも気を使ってやったんですけど。」
「いや、使ってない。お前は使ってない!
まぁ、いいか、それよりも、なんて聞かれたんだ?」
「ああ、何だっけな。確か、支社長って普段どんな人なんですか?って、女性関係が派手だったって、聞いてしまって・・・みたいな感じ?」「分かった。じゃあ、兄貴に宜しく。」
はぁ~、溜め息を吐いて、ビールを飲んだ。
ああ、ヤバい、ビールが不味くなる。
過去の自分を思い出すと、苦い。
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