お見合いですか?
裏ですか?
 結局折れてくれた。
取り敢えず29日にお互いの、実家に帰る事になった。そして、30日に帰ってくる予定だ。

 それにしても、さっきの悠斗さん可愛いかったなぁ。お風呂に入りながら、にやけた。

 「分かったよっ。俺も帰るよ、実家に!!これで、いい?」
無言で、暫く見つめてたら、ふてくされた様子で、そう言い出した。
「はぁ、今更、実家に帰ってもなぁ。ガキが居るわけでもねぇ。」と言って、うなだれていたから、ヨシヨシといった感じで、頭を撫でてやった。うん、可愛かった!
思っていた通り、髪の毛サラサラだったよ。 
そこは、なんか悔しいけど。


 お風呂からあがって、テレビを見ながら、ビールを飲む。至福の時だ。
彼は、もう寝たのか、リビングにはいなかった。
 暫く寛いでいると、彼が自室から出てきた。
 「愛実、どうせ帰ってくるなら、連れてこいって言われたんだけど、どうする?」
「えっ、マジっすか!」
「うん、わりとマジっぽい。」
「もう、内堀埋められてるんですか。」
彼は、隣にドカッと座ると、私と目を合わせて言ってくる。
「俺は、元々内堀も、外堀もねーよ。」
「意味が、解らない。」
「解れよ、ばーか」
「ばかじゃなーい。大体、内堀も、外堀ないって、どういう意味よ。只の城ってこと?ああ、そういう事かぁ。要は、どっちでも構わないってことか。そうだよ、最初に会った時そう言ってたもんね。」
どや顔で言ってやると、はぁ、と溜め息を吐かれた。
「全部は解ってねーけど、まぁいいや。それで、どうすんだ?」
「30日に時間があれば、伺います。」
「ほう、足掻くね。」
「はい、先ずは父のほうから、攻めます。」
「ああ、あれな。」
「はい、じっちゃんの名に賭けて、問い詰めてやります!」
「無理やり、ぶち込んだな。」
「はい、言いたかったんで。」
「まぁ、いいや、じゃそういう事で、おやすみ」と言って、彼が立ち上がったので、自分も立ち上がった。
「悠斗さん」そう呼ばれて、振り向いた彼に抱きついた。
「おやすみなさい。」言い終わった後、すぐに自室に逃げ込んだ。やっぱキスはハードルが高かった。
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