お見合いですか?
 困っているようだ。
重たい、溜め息を吐いている。
おでこに手をあてて、考えている。
困らせたいわけじゃないのに。
だから、また言った。
「せめて、何故、機密事項にしているのか教えてください。」

 暫く沈黙があって、やがて諦めたように、息を吐いて、彼が口を開く。
「ごめん、それは俺のわがままだ。ちゃんと話すから。少し時間をくれないか?」

 これ以上は無理か。
追い詰めたいわけじゃない。
「分かりました。待ってます。おやすみなさい。」
私もベッドに入った。

 この気持ちを聞いて欲しくて、誰かに相談しようと思った。
ただ、いつも相談してしまう有希さんには言えない。
だって、筒抜けだし。
思いっきり仕事の愚痴が入ってるし。
だから、明日香に頼った。
いつも忙しい明日香だけど、ちょうど話たい事があるからと、週末に、ランチを一緒に食べる事になった。
明日香は、仕事柄、昼休憩の時間は自分で決められるらしい。

 「ごめんね、こっちの方まで来てもらって。」
「ううん、私も愛実に会いたかったら。」
結局、前にも来た事のある会社近くのイタリアンレストランで落ち合った。
注文を決めながら、早速話し始めた。

 「最近、様子がおかしいんだよね。なんか隠されてるんだよね。」
「ああ、旦那さん?」
「いや、まだ、結婚してないから。」
「で、隠し事って?」
< 90 / 163 >

この作品をシェア

pagetop