副社長と愛され同居はじめます
そういうとこが、好きだ。


びっくりして思わず見つめて固まっていると、彼が気付いて不思議そうに首を傾ける。



「どうした?」

「え? あ。いや……別に」



別段、照れるでもなんでもない表情。
極々淡々と発せられた「好きだ」にきっと大した意味はないんだろう。


気が弱いよりは強い方が好き、とか。
うどんより蕎麦派、とか、そんな意味合いだきっと。



「早く整理して、今日はホテルビュッフェに行く」

「そうなの」



好きだなホテルビュッフェ。



「気兼ねなく食えるとこだし、味もいい。小春も気に入る」

「ふうん?」



え、もしかして、私に食べさせたくて昨日からビュッフェビュッフェって言ってたの、かな?


頭の中で彼のセリフを何度も何度もリピートさせて、「好きだ」の言葉がゲシュタルト崩壊しそうだった。


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