副社長と愛され同居はじめます
成瀬さんの秘書になって半月ほどだが、必死だった。


英語をもっと勉強したいけど他にも勉強しないといけないことは山ほど。


何より、仕事そのものが酷くハードだ。


成瀬さんの仕事量、移動量、かかる時間が半端ない。
この人こんな状況で、よくもまああれだけ店に通っていたなと少々呆れた。


帰ればぐったりとして成瀬さんとゆっくり話す時間も取れない、なので結局彼のことは何一つ探れないままだ。


そんな生活の中、やっと丸々二日の連休が取れ、一日は泥のように眠り二日目。



「……どうして嫌なんだ」

「だって、なんか、ちょっと」

「そんな曖昧な理由では納得がいかない」



俄かに始まる攻防戦。
くだらないっちゃ、くだらない。


成瀬さんを名前で呼ぶか呼ばないか、ただそれだけだ。


別に呼んだっていいんだけど、やっぱり急には恥ずかしいし仕事でもずっと一緒にいるのにうっかり会社で呼んじゃったらどうしようって思ってしまう。


まあ、この人は仕事中でも平気で私のことを「小春」と呼んでいるけれど。



「ってそんなくだらないことを無理強いしないでくださいよ! 子供みたいですよ」


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