副社長と愛され同居はじめます


結局、休日だけは名前で呼ぶということで、私が折れた。



「えと……じゃあ、柊さん」

「さんはいらん」

「え、じゃあ柊くん?」

「なんでだよ」



わかっててやってるんです!
だって年上なのに呼び捨てなんて出来ないし。


ソファにくつろぐ彼の膝の上に、向かい合わせに跨るように座らされ、羞恥心を散々煽る格好でキスの合間のおねだり。


彼は、横暴だが優しい。
めちゃくちゃするけど、その裏に彼なりの気遣いがある。


ズレてるから理解はされがたいことが多いけど。



「あ、柊さん。電話……」

「…………」

「……柊、電話、出てもいい?」



テーブルの上で着信を知らせる私の携帯。


膝の上に拘束したまま、全く取らせてくれないので仕方なく「柊」と呼び捨てにすれば、やっと電話に出ることを許された。


ほんと、子供だ。
大きな子供だ、うちの弟の方が多分大人のような気がする。


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