和花葉さんは今日も
「……ここはね、この子の住み処なの」
猫を撫でながら口を開いた山本は、辺りを見回した。
俺も彼女に習って、周りに目を向けた。
山本達がいるところから半径5メートルくらいのスペースは、雑草が綺麗に排除され、少し離れた場所に、木でつくられた小屋がある。
小屋の高さは俺の背丈くらいだから、1.8m程か。
外から見て中の広さは、3畳はあるだろう。
それにしても、この猫が本当に野良猫だとは、にわかに信じがたい。
「……山本が面倒をみてるのか?」
「うん」
俺の質問に目を細めて答えた。
「このこと、誰にも言わないでね」
秘密、と人差し指を唇にあて、いたずらっぽく微笑む彼女。
その笑顔に、一瞬、見惚れてしまって、頷くのが遅れてしまった。