ムシ女
どこからかゴゴゴゴゴという低い音が聞こえて来た。


なんだろうと思い、手を止めて周囲を見回した。


その瞬間、体を突き上げるような揺れが襲ったのだ。


グラウンドの声は聞こえなくなり、あたしは咄嗟にテーブルの下に身を隠していた。


なにがどうなっているのか咄嗟には理解できなかった。


目を閉じて激しい揺れを我慢することで精いっぱいだ。


教室の後ろに並んでいる棚がガタガタと揺れる音がする。


あの棚にはいろんな薬品が入っている。


その中には絶対に混ぜてはいけない、有毒ガスが発生するものも含まれている。


その棚に違い一番後ろのテ-ブルの下にいるあたし。


ここにいたら危険かもしれない。


かといって、揺れが続いている今移動するのはもっと危険だ。


あたしはテーブルの足にしがみつき、恐怖と不安を押し殺す。


その時だった。


揺れていた棚がついに限界に到達し、大きな音を上げて倒れて来た。


「キャァ!!」


悲鳴をあげてギュッと目を閉じる。


隣の机に倒れ、薬品のビンがあちこちに散らばる。


ツンッとした匂いが鼻を刺激したので、あたしは咄嗟にハンカチを取り出してそれで鼻と口を押えた。


心臓はドクドクと早くなり、早く揺れが収まれと願う。
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