苦手だけど、好きにならずにいられない!


「オー、エクセレン!さすが莉子ね。…でも何かが足らない。
そう!花婿がいないのよ。新太、あなた花婿役をおやりなさい」

ナオミの提案に私も大きく頷いた。


「わあ、それ、いいですね。貸衣装のタキシードあると思います。フロントに行ってアリシアさんに訊いてみます。先輩、少し髪整えて下さい」


「…………やだ!」


え?
私の目がテンになる。

「絶対、嫌です。断ります。俺、出来ません!無理無理無理です!」

「あはは。なに、照れてるんですか。あくまで脇役ですから。いるだけで大丈夫です。自分はパセリだと思って下さい」

「パセリとかで騙されねえ。嫌なものは嫌だから。ぜーーーてぇ!やらねえ!
ナオミさんの頼みでもやりたくねえものは出来ねえ!!」

「………」


思いがけない拒絶反応に私は唖然とし、一同シーンとなった。

ナオミが長い睫毛を瞬かせて目をパチクリさせ、神聖な教会に気まずい空気が流れる。

ビッキーが眉を歪ませて泣き出しそうな顔をしているのを見て、私は腹が立ってきた。断るにも言い方ってものがあるだろうに。



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