【完】BLACK JOKER -元姫VS現姫-



「こいつのこと、ちゃんと信頼してるから。

俺にいちいち説明せずに、勝手にやってくれていいよ。……報告してくれればそれでいい」



「……夕李」



「ただひとつだけ。

……絶対にひのを傷つけねえ、って約束なら、あとはなんでもいい。危ないことはだめだけどな」



……なんでそう、かっこいいんだか。

意識してないと口元がゆるんでしまいそうで、困る。運ばれてきたけれど真剣な会話の途中だからと手をつけていなかったパフェのバニラアイスが、ゆっくりと溶けるのを無心で見つめた。



「当たり前だろ」



「………」



「傷つけはしない。傷つけさせることもない。

……俺らは、チームを守るために女を傷つけるようなことだけは絶対にしない」




はっきりとした、綺世の言葉。

それを聞いた夕李は表情をゆるめて、「じゃあ任せるわ」と一言だけ返した。……曖昧に放棄するわけじゃなく、彼にちゃんと託してくれた。



「ふふ、よかったねーあやちゃん。

……これで、ひのちゃんは『現姫を追放する会』のメンバーだよー」



「ええ、なにその安直な名前の会……」



「ちょっ、ひのちゃん嫌そうな顔しないで!?

安直な名前の方がわかりやすくていいっていう僕の心遣いだよー!?」



「……ごめんねゆゆ」



「なんだろう謝られるのがいちばん傷ついた……!」



もー!と頬をふくらませたゆゆが、すっかり冷め切ってしまったポテトをもぐもぐと口に運ぶ。

それを見てわたしもパフェにスプーンを入れると、隣の夕李に「食べる?」と問いかけた。



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