藤沢先生の白いキャンバス。(修正済み)

結局、翌朝も
先生とは、ろくに会話も出来ずに
出勤をしてしまう。
不安で気まずい……。

お昼頃にそのことを由恵に相談した。 

「えぇっ!?それって二股じゃん!!」

驚いたように言われてしまう。

ガーン!!

ふ、二股……。

「ふ、二股ではないわよ。
変なこと言わないで……藤沢先生は、
そんなことをする人ではないわ」

「ごめん。でも気をつけた方がいいわよ?
直接会ったら心変わりをする場合だってあるし
しかも顔見知りで美人。仕事にも理解あるし
最高のパートナーだとか言われたら
その気になることだって」

由恵に心配そうに言われた。

私は、それを聞いて余計に胸がざわざわして
苦しくなる。

一番最悪に考えたことを由恵に言われたからだ。

やっぱり……そうなのかしら?

あんな美人で腕のいい女医さんが
お見合い相手だと、いくら藤沢先生でも
心が揺らぐのかしら……?

そんなこと……あってほしくないのに。

ついそうではないかって疑ってしまう。

胸がズキズキと痛んだ。

「いやだ……もしかしたらよ?
藤沢先生に限ってそれはないから
本人を信じてあげなよ」

「う、うん……」

由恵に言われたが、私の心は
ぽっかりと穴が空いたように苦しかった。

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