藤沢先生の白いキャンバス。(修正済み)

複雑な表情をしながら

「私は、景介に跡を継いでもらうことを考えて
厳しくしてきた。
それがあの子のためになると思い。
だが、それがあの子を追い詰める結果になった。
だから、あんなドタキャンするような馬鹿なことを」

「もっと上手く接してやれば
百花ちゃんに迷惑をかけなかったんだ。
もっと早く諦めさせていれば……」

そう話すお義父さん。

違う……まだ全然分かっていない。

「違います。景介さんは、
ずっと医者ではなくて絵描きになりたかったんです。
それに、私達の意思も一緒になることでした。
だから迷惑だと思っていないし
景介さんだって自分で選らびたかったら
今回の事も後悔なんてしていない」

「お義父さん。お願いです!
たまには、景介さんの意見も聞いてあげて下さい。
あの人は……ずっと
自分の気持ちを抑えて生きて来たんです。
もう苦しませたくありません」

泣きながら必死に訴えた。

ワガママなことを言っているのかもしれない。

「百花ちゃん……」

でも……それでも
私は、苦しんでいる先生の顔を見たくなかった。

自由に憧れる先生を心の底から
応援したかった。

それが、ワガママや間違っているとしても……。

オペは、長い時間かかった。
しばらくしてオペが終わり坂下先生が出てきた。

「坂下先生。景介は!?」

オペを担当した坂下先生に
お義父さんは尋ねた。

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