課長の胃袋をつかみました
「くそ、あの急な出張のせいか。
塚田につけ入る隙を与えちまった。」

課長はうつむきながらガシガシと頭を掻いた。
そして私に向き直ると、頬を少し赤くしながら、目は少しうるませて、だけど真剣な目をしていた。

「俺は、茅野が好きだ。
だからお前の作った料理は俺以外に食べて欲しくない。
男の嫉妬だ、だけどそれくらいもうお前が好きなんだよ。」

課長の真剣な告白に、目から涙がこぼれ出た。

いつの間にこんなに好きになっていたのだろう。
課長の言葉のひとつひとつが私の胸に染み渡ってただただ課長が好き、という思いが洗練されていく。

「課長、私この前まで塚田先輩の方がいいやとかそんなこと考えてました。
だけど課長と過ごしたわずかの時間で、もうあなた以外考えられないっていうくらい好きになってしまいました。
軽い女だって思われるかもしれないけど、好きです。私も課長のことが好き。」

課長はすごく嬉しそうに笑って、そして私に近づくと息ができないくらいキツく、大切そうに私のことを抱きしめた。
お互いの鼓動が伝わって、嬉しさがこみ上げてくる。

「茅野、ありがとう。
愛してるから、結婚しよう。」

そのぬくもりを噛み締めながら、私は大きくうなずいた。


窓からは月明かりが漏れている。
その光はたった今結ばれたばかりの2人を暖かに照らし出していた。
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