姫、私は誓います。
何となく昔を思い出せた。ランバートとクラウドはいなかったが、新人の時にもこんな事があったんだ。任務に少し失敗したが追っ手は捲れた。でも、二人とも疲れていて城につく前にへばって眠っていた。そして目を覚ませば城の医務室で、クラウドが俺たちに皮肉を言うんだ。

「バカですねぇ、あなたたちは」

そう。俺たちが無茶をした時はそんな風にいつも言うんだ。

「腹減ったー」

「いりますか?サバ缶」

「1缶かよ」

そう言いながらもクラウドが持っている缶詰を食べるラーク。皆といるこの感じ。一人で残った城で揉み消されていたこの感覚を俺はやっと思い出せた。遅い展開に笑いが込み上げてきた。11年間、何かが物足りないと思っていたのはこれだったんだ。
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