姫、私は誓います。
俺たちはまだ何も始まっていない。きっとレイア姫が20歳で亡くなったのも、これから何かの幕が開くからなのだろう。取り合えず俺たちは寝惚けた体を精一杯動かして町を抜け、森に入った。これで俺たちはあの町へ戻れなくなった。そして、ラークは俺たちのせいで帰る場所を失った。ラークはこの事を怒っているだろうか。やっと見付けた自分の居場所を昔の仲間に壊されて、最悪だと絶望しているだろうか。

「すまない、ラーク」

「本当だぜ。・・・タバコ、奢ってくれよ?一生」

「おーよ。それで済むなら一生買ってやる」

やっぱりラークだ。そう思った。気持ちの伝え方は変わったが、その根本はどう足掻いても10年とちょっとじゃ変わらない。そんな物だろう。住民が追ってこなくなった森の奥深くで、俺たちは木の根元に腰を下ろしていた。
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