姫、私は誓います。
「悪い事は言わない。あの洞窟へ行くのは止めなされ」

「どうしてか理由を聞きたい」

隊長が住民たちにそう聞くと、僕が持っていたイメージ通りのレイア姫の思い出が出てきた。

「あの方はひもじい思いをしていた我々に色んな親切をしてくださいました。そんな方が打ち首の身代わりになるなんて事、あってほしくないのです」

「それがもし、自分の身をあなた方に守らせるためのお芝居だとしてもですか」

クラウドが真実を叩き付けていた。住民たちの戸惑いが壁を1枚挟んでいても伝わってくる。もし自分に親切にしてくれた人が見返りのためだけだったとしたら、僕はどうなるのだろう。怒り狂ったり、信じられなくなって質問攻めにしたりするのだろうか。それとも、それでも親切にしてくれたからと守り続けるのだろうか。
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