姫、私は誓います。
笑って吹き飛ばそうだなんて考えている訳では無いけれど、少しでも明るい気持ちになれたら良いなって思う。それは僕の心に他人の幸せを願うための余裕が出来たからなんだ。今は友達として距離を縮められている彼女がそこにいればいいやと思っていた。
森を抜けると皆が目指していたレイア姫の分身がいるという洞窟があった。レイア姫の分身をあの城に渡す事が出来れば彼女も一人の女の子として過ごせる日が来るんだ。そう思うと、その未来には僕が隣にいたいだなんて思ってしまっていた。
ずっと歩き続けてへとへとになっていた僕らは作戦の再確認やその後の食料などを集めるために一番近い町へ立ち寄った。そこは戦いという言葉すら知らないような、のんびりとした人たちが住む谷で何となく笑えた。だってこっちの仲間の一人が打ち首になるかもしれないと騒いでいるのに、農家で取れた野菜を持っていきなさいと隊長やジンさんに渡しているんだ。現実を忘れられた。でも、住民たちがそうする理由が寝静まった頃明らかになった。隊長やジンさんたちと話している声が聞こえたんだ。
< 139 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop