姫、私は誓います。
クラウドはくいっと酒を飲み干して笑った。あの頃みたいな顔でただ笑ったんだ。ラークと俺と一緒にただ笑ったんだ。バカみたいに口を開けて、大きな声を出して。老いてシワが増えた顔をもっとしわくちゃにして笑ったんだ。
ラーク、お前はもう充分だ。色んな責任を負いすぎた。被らなくても良い濡れ衣を被り続け、どこまで脱がずに生きるんだ。もう良いだろう。そんな責任、誰が嬉しくて負い続けなきゃいけないというんだ。少なくとも、俺はあの時を境にこのまま捨ててくれればと思ったさ。
酷い事かもしれないが本当にそう思ったんだ。レイアさんの死刑執行に立ち合い、自らも命をなげうった。兵士の時も仲間を守り、庇い続けた。死刑が執行されて俺とウィルの許に流れ着いてくれた時、ラークは記憶を無くしていた。その時、その責任も一緒に無くなっていてくれれば良かったのにと何度も思った事さ。背負わなくてもいい責任まで背負い続けてきたラークの事だ。このまま生きていても背負わなくていい責任をずっと負い続けていくのだろう。それならこのままと何度も思ったさ。
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