姫、私は誓います。
俺たちは義弟の無駄に広い背中をただ睨んでいた。きっと中には殺意の芽生えた者だっているだろう。それでも俺たちは手を出してはいけない。城の中だからだ。城の中であるというだけで敵であろうと誰であろうと手を出してはいけない。亡き国王と姫が兵士たちに下した唯一のルールだ。

「・・・戻るぞ、嫌な予感がする」

「承知!」

俺たちは来た道を急いで戻った。ラークペイは絶対に手を出さないし、護身でも剣を抜かないだろう。ルールを破り、姫を悲しませたくないからだ。そんなラークペイに姫を任せて置くわけにはいかない。傷付いてからでは遅いんだ。

「ラーク!姫!」

予感は的中した。最悪の事態だ。手に掛けてしまおうかと思った。ラークペイは腹部を刺され、瀕死状態。姫は義弟に淫らな格好にされていた。
< 30 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop