姫、私は誓います。
「姫様。・・・私どもは、あなたを・・・っ。・・・愛しておりました・・・」

涙が止まらなかった。やっと会えたのに。また一緒に楽しい日々が送れると思ったのに、私の手の中で脈が止まった。一つの救いがあるとするなら若い3人がこの瞬間に立ち会っていなかった事だけ。ルークもラークも止まった事に気付いては涙を堪えきれずに流していた。
姫、姫と声に出しながらまだ間に合うかもしれない。自分の気のせいかもしれない。奇跡が起こるかもしれないと姫を呼び続けた。でも、目は覚まさなかった。
彼女はどうして生きたのだろう。どうしてここまで生き続けたのだろう。こうなるのであれば、まだ帰ってこなければ良かった。ここまで悲しむのであれば愛さなければ良かった。彼女を助けられずに残ったのは絶望と各々の傷痕だけだった。
私たちは今日この瞬間を墓場まで忘れないだろう。数年ぶりに会って数週間、姫はまた遠くに行ってしまわれた。でも、あなたを愛するという事がここまで辛いとは知りませんでした。
< 75 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop