姫、私は誓います。

そういう義理ではないが、知らせようかどうか迷う。彼女に仕えていたラークペイさん、ジンルークさんはもちろん。医師として関わっていたクラウドさん、唯一の女兵士だったケイロビンさん、殺戮マシーンだと言われ続けたロンマニーさん。全員が彼女に恋をしていた。一人の人間として生きている彼女を好きになった。
どうして俺はこんな辛い思いをしないといけないのだろう。というより、どうして俺はこんな辛い思いをしているのだろう。白魔法の仕えるただの兵士として彼らに近付き、初めて仲間と言うものが出来た。それがこんなに辛い事だなんて頭でしか分かっていなかった。

「あの・・・さ」

俺はこの事を話すべきなのだろうか。彼女が魔法によって作られた人形のような者だった事、魔女が戦争をさせるために作り出した者だった事。俺の知っている事全てを話すべきなのだろうか。仲間という存在を初めて持った俺にとって難しい選択肢だった。