街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー
それからスマホで天気予報を見ると降水確率は10%。
……つーことは、ゲリラ豪雨的な?
通り雨ならいいけどな。
「大翔も座れば?」
「あ、あぁ」
気づけば大きめなベンチに心優が座っていたから、俺もその隣に座ってみた。
ま、立ってても仕方ないしな。
「……そういや、話って何?」
たぶん、さっき心優は話を切り出した。
なのに雨で強制終了を強いられたから、ここで俺から仕切り直した。
「あ、うん
そうだったね。」
心優はそういうと、なんかちょっと真面目な顔をして下を向いた。
雰囲気的に、やっぱいい話ではなさそうで俺も下を向いた。
今からなんの話をされんのか怖くて前なんか見ることはできなかった。
「突然で悪いんだけどね
智樹と青木さんにもこの前伝えたんだけどね」
「うん」
……なんだよ、前置きかよ。
つーか、俺が最後かよ。智樹の方が先かよ。
「……この修学旅行が終わって、帰ったらね…」
……なんだよ
早く言えよ。早く言ってくれよ。
じゃなきゃ俺、この空気感に押しつぶれそうだよ…
「……南高、辞めることにしたんだ。」
「…は?」
「留学することにしたんだ。」
心優の話は、俺の予想なんか遥かに飛び越えて
いつも俺の横にいて、俺と同じ速度で歩いていたはずの心優は
いつの間にか俺のことなんか飛び越えて遠くに行こうとしていた。