君の本気に触れた時…
自分でもこんな事をしてどうしたいのか分からなかった。

素直に自分の気持ちを言えば済む事なのに…そんな簡単なことが難しかった。

彼は自分の荷物もあるのに、私の荷物も一緒に軽々と持つと改札をくぐり歩き出した。


「ハル君、私自分で持つよ…。」

「いいですよ。甘えてもらえた方が俺も嬉しいから。」


そう言って私の前を歩くハル君の背中は、とても大きく見えた。

窓側の座席を譲ってくれた彼にお礼を言って、有り難く窓際に座らせてもらった。

毎年1人で帰省していたのに、今年はハルくんと2人での帰省でなんだか不思議な気分だった。

ゆっくりと静かに、新幹線が動き出した…。

流れていくビルを見ていたら、ふと指先に温かい温度を感じた。








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