君の本気に触れた時…
「ええっと…ちゃんと無事に家まで送り届けてもらいましたけど?」

「あ…そうなんだ。」

「はい…そうです」


松本さんの態度に少しだけ違和感を覚えた。


「また一緒に飲みに行こうよ。今度はちゃんと計画立ててさ。」

「あ、はい。そうですね。ぜひ、楽しみにしてます」

「あいつにも俺から言っておくから。」


松本さんが嬉しそうにそう言った直後、隣に立っていた彼からまた少し低いトーンの声が聞こえた。


「…エレベーター来ましたよ」

「…ああ、うん」


彼がさりげなく私の腕を取り足を前に進めた。

彼に引かれるようにして目の前の口を開けたエレベーターの中に乗り込むと、後ろからなだれ込んできた人の波に押され最奥の壁際に彼と一緒に押し込まれた。

隣の彼を目線だけでチロリと見上げると背の高い彼は何とも涼しそうな顔をしている。
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