八色(やいろ)の虹 ~君らしく僕らしく~



「あっ!」

そう声をあげたのは白である。

「白のおっさん、どうした?」

紫の問いに対し白はこう話した。

「駄目だ。やはりわたしは虹にはなれない」

「なんだよ、白のおっさん。

俺がこんなに頑張って持ち上げてやってんのに、

もう諦めんのかよ! 

やっぱり白は白だな。がっかりしたぜ」

「違うんだよ、紫君。よく見てくれ。

ほら、わたしが虹の中にいるから

雲が灰色に支配されてしまい

虹を隠してしまってるんだ。

やはりわたしは雲に戻る。

そして真っ白な雲を作って

虹《きみたち》の近くで

ふわふわ浮いていなければならないんだ。

どんなに大きく美しい虹であっても

灰色の雲に隠されてしまっては綺麗な虹を

子供たちに届ける事はできないんだよ」

「お……おっさん……」

「いいんだよ。

一瞬ではあったけれど、

虹《きみたち》の一員になれて嬉しかったよ。

これからは君たちの引き立て役として

誇りを持って生きていくよ。

いくら背伸びをしたところで所詮《しょせん》

白《わたし》はわたしなんだよ。

わたしはわたしらしく。

それが一番なんだよ。

紫君、君も君らしく生きていってくださいね。

それじゃ!」

白は指笛を吹いた。

真っ白な絨毯に乗り込み

灰色により支配された雲へ飛び込んで行ったのだ。

「おっさん……感動したぜ。俺……。俺も俺らしく……。

そう! 日本一のヤンキーになるからな!」

「オイ! オイ!」

紫にそう突っ込んだのは青である。

すると暗かった雲は瞬く間に

真っ白なそれへと変わっていった。

「わー! 綺麗!」

「すげえぞ、あの虹!」

「おっきい!」

富士山の遥か上空に掛かった大きな虹は、

全国の子供たちの小さな瞳の中で

七色に輝いていた。


おわり。
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