クールな同期と熱愛はじめ
「もういいから」
桜木くんはベッドサイドの時計に目をやると、「ちょうどできてる頃だから入ってこい」と言った。
「……できてるって? 入ってこいって?」
連続で質問を投げかける。
寝不足の上、起き抜けでいろいろ言われても、すぐに反応できない。
「風呂だよ、風呂」
「――え? ジェットバス? いつの間にお湯張ったの!?」
「昨夜のうちに時間設定で予約」
まだ若干機嫌を損ねているのか、面倒くさいものを相手するかのような口調だった。
それにしても、なんて気の利くこと。
「それじゃ、桜木くんが先に入って」
「宇佐美が先に入れ」
「だって、なんか悪いじゃない」
「いいから入れ」
どうでもいい押し問答を繰り返し、結局は私が先に入らせてもらうことになったのだった。