クールな同期と熱愛はじめ
「他のハウスメーカーに乗り換えるそうだ」
「――申し訳ありませんでした!」
テーブルにこすりつけるほど頭を下げる。
私の勝手な行動が、こういう結果を招いてしまった。
いつものように社内で打ち合わせをしていれば、こんな事態にはならなかったはず。
施主という立場に負けて、ホテルに行ってしまった私の不手際だ。
「頭を上げなさい。軽率な行動をしたところは、確かにあるだろう。だが、あの高梨という男は、なかなかのくせ者だ」
部長の言っていることが、いまひとつ理解できない。
なにかあったのか、部長は腕を組んで憮然としていた。
「あの夜、桜木もあの場にいたそうだな」
「……どうしてそのことを?」
部長はそこで大きくため息を吐いた。
「桜木を訴えると言ってきた」
「――はい!?」
高梨さんが桜木くんを?