クールな同期と熱愛はじめ
竹中部長は桜木くんの肩にトンと手を置いた。激励するようにその肩を揺らす。
嘘でしょ……。
その隣で、私は呆然と立ち尽くした。
信じられなかった。今回もまた、私は選んでもらえなかったのだ。またもや、桜木くんに負けたのだ。
いったいこれで何度目なんだろう。
私が設計の提案をお客様から選んでいただいたのは、これまでで七回。六年弱も設計部に所属しているのに、たったの七回だ。
しかもそのどれもが、桜木くんがメンバーにいないときだなんてシャレにならない。
つまり、これまで私は、一度も桜木くんに勝ったためしがないのだ。一度も。
設計部に配属になり桜木くんとは同じ年月が過ぎているはずなのに、彼は私の遥か先を歩いている。その背中すら見失ってしまうくらい、うんと先だ。
今回の採用で、桜木くんはまた一歩進んでしまった。
そうだというのに、彼ときたら別に喜ぶような様子もなく、部長に「ありがとうございます」と言っただけだった。涼しげな奥二重の目元を緩めることもなく、だ。
私だったら飛び上がって喜んでいるところだというのに。
普段からどこか冷めたところがある彼は、感情の起伏をめったに表に出さない。