クールな同期と熱愛はじめ

そうして電車に揺られること二十分。ここからは歩いて七分だ。さっきの要領で走れば大丈夫だろう。
駅前のコンビニで傘を買おうかとも思ったけれど、ビニール傘をこれ以上増やしたくないと思い直して駆けだす。

ところが思いのほか雨が強くなり、みるみるうちにどしゃ降りに。そうなると、いくら軒先を選びながら走ろうが、雨を防ぐことは困難になる。
マンションのエントランスに走り込んだときには、まるでシャワーを浴びたかのように全身ずぶ濡れだった。

十月も終わりの雨は予想以上に冷たい。ブルッという悪寒の次にくしゃみが飛びだした。


「さむっ」


自分で自分の肩を抱きつつエレベーターに乗り、点々と雨の痕をつけながらやっと部屋へとたどり着いたのだった。


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