今度は日本を救います
佐伯さんはフッカフカの昨日も座った3人掛けのソファに優しく降ろしてくれた。



「今須田に、あ、治癒の魔法を使うやつね。そいつを呼び出して、芝山には事情を送っておいたから」



送っておいた、というのは通信でメッセージを送った、ということ。


佐伯さんが通信で良かった。


もう体中が痛すぎて感覚麻痺しそうだから早く治してもらいたい。


ソファに寝っ転がって呻いてると佐伯さんが申し訳なさそうな顔をしていた。



「本当ごめん……治せるとはいえさすがにやり過ぎた……」



「だから大丈夫ですって。死ななければOKです」



「本当に男気溢れてるね」



苦笑いされたけど、事実だ。


生きていれば、怪我したって大丈夫。


普通の中学生だった頃はかすり傷で痛い痛いって言ってたのに、強くなったなぁ……


私は本当に気にしていないのに、佐伯さんは心配そうな顔で私の右頬を包み込んだ。



「な、んですか」



「女の子なんだから無茶しないで。楓ちゃんは俺から見たら小さくて細い、可愛い女の子だよ。すぐに壊れてしまいそう……」



「佐伯さん……?」



その目は、私を心配する気持ちだけじゃない、別の……執着?のような感情が宿っている。


なんか怖い……



「楓ちゃんは……」



「は、はい?」



それだけ言って、いつもの明るくて優しい佐伯さんに戻った。



「俺にこんなこと言われたって説得力無いよね!本当ごめん!」



「いえ、大丈夫です」



さっきの佐伯さんは何だったのだろうか。

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