義理じゃないチョコ、あげます。


*****




お昼休み。




私は、課題を提出するために職員室に向かっていた。




あの先生、遅れると怖いからなあ…。


なんて考えながら。




ふと、窓の外に目を向ける。


そこにあるのは、広い中庭。


お弁当を食べている人も、ちらほらといる。




こんなに寒い中、よく外で食べるなあ…。




さらに歩くと、人はまばらになって。


体育館裏が、少し遠くに見えた。




「あ…ヒロだ」




視界の端に、見知った顔が映ったとき。








そこは、人があまり来ないような、体育館裏で。


それも、さらにここ以外からは死界になるような位置で。




よく考えれば、すぐにわかることだったのだから。








すぐに、逃げればよかったのに。


そうでなくとも、目をそらすだけでよかったのに。








「あ、れ…」








ヒロのそばに、誰かもう1人の影が、見えたと思った次の瞬間。












2人の影が、重なった。







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