義理じゃないチョコ、あげます。




「だから大丈夫。自信持って渡しなよ」








さすが、アキだと思う。




私がこうなると、どんどん悪い思考にはまっていくのをわかっていて。


こうして、優しく引っ張り上げてくれる。




いつもならそんな顔、見せないのに。








「…アキ」


「はいよ」


「…ありがと!」




アキの気持ちに応えるように、ニッと笑って。




「自信持っては言えないけど…でも、頑張る」




二度目の宣言をした。




思えば、こうして何かを決意するとき。


背中を押してくれるのは、いつもアキで。


何かに押しつぶされそうなとき。


支えてくれるのは、いつもアキ。




私は何か、返せているだろうか。




「アキー」


「もう、何よ」


「ありがと!」


「それ、もう聞いたんだけど」




うん、それでも言いたくて。




「…アキ大好き!」


「な!…何、いきなり…」




アキは相当びっくりしたようで。


狼狽えながらも、照れ臭そうに笑ってくれた。












こういう時に限って…




事件というのは、起こるものでして。



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