クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~



コートと一緒にジャケットも脱がされてる。スーツの為に着たブラウス越しに、彼の手が触れてくる。


涙をにじませ恨みがましい目で見ても、葛城さんは嬉しそうに笑うだけ。


拒む言葉を封じるためか、葛城さんは唇を重ねてくる。僅かに開いた隙間から舌を差し入れて、私の口をもてあそぶ。


(なんでこうなってるの……?)


チラリとそんな疑問が頭をかすめる。


私の変な告白で不機嫌になってたはずなのに、どうして葛城さんはこんなにも性急に私を抱こうとするんだろう? いつもなら夕食後お風呂に入って落ち着いた頃を選ぶのに。


それほど不愉快だったのかな……?と一生懸命に鈍い頭で考えていると、葛城さんが急に不機嫌になっていた。


「最中に考え事とはな。伊藤のことでも考えてたのか?」



なぜ、伊藤さんのことが出てくるの? 理解ができなくても、彼のことで機嫌を損ねてる……ということだけは解る。


「ち、違います……彼のことはなにも……っ!」

「“彼”?」


冷えていく空気に、急激に彼の機嫌が下降していくのを感じた。


「“彼”呼ばわりとは、ずいぶん親しげじゃないか。最近はよく一緒に居るようだしな」

「だって同僚ですよ……? お話くらいします」


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