大きな背中

「茜は彼氏いないの?」

『いないよ~。』

「こいつがいるわけねーじゃん、なー茜。」

「悠生ひっでー。あははは。」


悠生がこんなことを言ってくれたことにこの時は感謝した。このまま恋バナなんかしたら身が持たなかった。


「悠生ー、ジュース。」

「あ!茜、チャリのかごん中~。」

『え~。』

「茜ちゃ~ん。」

『きも~い。』


なんて言いながら私はしぶしぶ悠生が自転車に忘れたジュースを取りに行った。


『ふぅ~、疲れた~。』


私がドアに手をかけた時、話し声が聞こえた。


「…好き…んだよ…。」


私は立ち止まって聞いてしまった。


「俺、茜が好きなんだよね。」


え?どういうこと?
気のせいだよね。私は忘れたくて何もなかったかのように陸の部屋に入った。

『はい!持ってきたよ。』

「ありがと~う。」

「さんきゅー。茜どっちがいい?」


悠生がコーラを手にしたあと、陸がサイダーとコーラを差し出した。

『こっち。』

「ん。」

陸は私が指を指したサイダーを私にくれた。


やっぱり好きだよ。



ごめんね、悠生。

< 7 / 11 >

この作品をシェア

pagetop