氷の華
第十三章…華
次の日の出勤前に、野田さんからかかってきた電話で私は真実を知った。


乃亜さんから、私に指名替えした理由。


羽振り良くお金を使ってくれていた理由。


宮口さんに見せつけるよう、偶然を装ってグラスを割ってしまった理由を。


「今の蘭ちゃんには俺しか指名客が居ないんでしょ?失いたくないよね?」


私は何も答えなかった。


続く言葉を、奥歯を噛み携帯を強く握り締めて待っていた。


「今日も[ミルキィ]に行くからさ、勿論これからも。アフターで…もう分かるよね?」
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