君にまっすぐ
孝俊の朝は早い。
仕事の前に彼女をホテルから家まで送って行かなければならない。
しかし、今の彼女もそろそろ潮時かなとシャワーを浴びながら思う。
冷めた間柄ではあるが親が決めた婚約者がいるため、軽いつきあいのできる女と1ヶ月程度しか付き合わない主義だ。
そもそも1ヶ月付き合い数回身体を重ねれば大体飽きる。
それでも次々にやってくる彼女たちの相手をしているのは迫り来る婚約者との生活にどこか寂しさや虚しさを感じているからなのかと思い至り、孝俊は苦笑した。

シャワーを浴び、ベッドに戻ると今日で付き合って約1ヶ月の彼女が寝ている。
1ヶ月ではなく、3週間だったか?と孝俊は思うが、そんなことはどうでもいいことだ。

「ねぇ起きて。君もシャワーを浴びておいで。家まで送るよ。」

孝俊は彼女の頭を撫でながら、ささやくように声をかける。
孝俊にとって気持ちのない女の子にも優しく甘い態度をとることは造作ないことだ。

全裸だった彼女はベットサイドに落ちていたバスローブを羽織るとバスルームに消えていった。


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