君にまっすぐ

B.C.square TOKYOの地下駐車場についた孝俊をあかりがメロメロ笑顔で出迎える。

「おかえりなさいませ。」

車を降り、笑顔で孝俊の車を車庫入れしているあかりを見て、やっぱりあの笑顔いいな、と思いながら今後彼女を手に入れるためにアクセサリーでも買いに行こうと少し浮かれた気持ちでオフィスに向かう。
地下１階からオフィスに向かうエレベーターを待つ間、管理室に勤務する田中が現れた。

「おはようございます。坊っちゃん。」

「いい加減、坊っちゃんはやめろ。」

「生まれた時から知っている私としましては、坊っちゃんは坊っちゃんですので。それに私から見た孝俊さんはまだまだ甘ったれのぼっちゃんですよ。」

「どういう意味だそれは。ちゃんと仕事はしてるぞ、俺は。」

「もちろん、仕事での活躍は耳にしております。ですが、女性関係は頂けませんね。」

「俺は一人ひとりに誠実に接しているぞ。それに、未来もないのにだらだらと続けるよりは短い方がマシだろう。」

「私が言いたいのは、そういうことでもないのですが。」

田中が苦笑しながら答える。

「ですが、今日はいつもよりも少し機嫌がいいように見受けられますね。」

「あぁ、ちょっとな。」

孝俊がちらっと車庫にいるあかりを見る。
それにつられるように、あかりを見た田中は納得げに頷いた。

「あぁ、森山田さんですか。彼女の笑顔は素敵ですもんね。」

「そうだ、田中。彼女の勤務は何時までだ。」

「…。それを聞いてどうするおつもりです？」

「食事に誘うつもりだが。」

田中は何やら思案顔だ。

「いつも俺の車を管理してもらっているお礼に食事に誘うぐらいいいだろう。」

「まぁ、彼女なら大丈夫でしょうね。」

田中は一人納得したように頷く。

「彼女の勤務は基本朝６時から休憩を挟んで夕方６時に終了です。週休２日で今週の休みは明後日木曜日と日曜日ですね。」

「そうか。ありがとう、田中。じゃあ、またな。」

孝俊は嬉しそうに着いたエレベーターに乗り込んでいった。
田中は一人つぶやく。

「まぁ、せいぜい頑張ってくださいよ、坊っちゃん。」