次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
降り掛かる悪意
大騒ぎの数時間の後、私は自分でも見間違えるほどの出来映えに感激していた。

駿介にエスコートされる時は一応、美容院に行ってヘアメイクをしてもらっていたけど、このお店はスタイリストさん達のスキルがまるで違う。流石、駿介が「グレードアップしたもの」と言っていただけある。

目ばかり大きくて子供っぽいのがコンプレックスだったのに、今、鏡に写るのは大きな瞳を潤ませた可憐でたおやかな女性だ。髪もアップにしてサイドにたらし、ゆるいカールでドレスに似合う軽やかで華やかな髪型にしている。

「私じゃないみたい‥‥‥」

「何言ってんだ、間違いなく文香だろうが。ま、確かに普段よりずいぶん色っぽいけどな」

「‥‥ありがと」

鏡越しに見つめる駿介のちょっと意地悪な褒め言葉も素直に返す。

「さ、行くぞ」

いつものように差し出される右手を取って、後ろで満足げに微笑み合っている二人にも披露すると、小さく拍手してくれた。

「お祖母様も耀子母さんも、ありがとうございます。こんなに綺麗にしてもらって」

「ふふっ、私達こそ楽しかったわ。ありがとう。娘のドレスを選ぶってやっぱり幸せね。次は白いドレスかしら?」
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