次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない

「言わせとけばいいんだ。あの人達はどうなっても、どうせ文句を言うんだから」

「そうはいかないよ。本来なら私なんて駿介の側にいちゃいけない立場なんだから」

「まーたそんな事を言う。文香がそんな事言ってるって知ったらお祖母様も母さんだって悲しむぞ」

「駿介が黙ってたらバレないわよ。だって‥」

「俺がいる時には本家には絶対行かないからな」

あ、バレてたのか。

思わず「しまった」という顔をした私を見て、ますます不機嫌さを増した駿介は睨むように見てくる。

「俺がいる時は絶対来ないくせに涼介がいる時は気にせずに来るってどういう事だよ」


あぁ、そこまでバレてるのか‥‥。正直、ヤバいとしか頭に浮かばない。


長い間大切に育ててもらった大好きな人達だ。今でもお祖母様や耀子母さんに会うために時折、私は本家に行く。
でもそれは未だ実家住まいの駿介が在宅でない事を確認してから。