次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
秘書として仕事や出張などの予定は把握しているし、休みだとしても行く前に顔見知りの家政婦さんに電話して確認したら簡単に分かる。

ちなみに駿介の3つ下で同じく実家住まいの涼介君はウェブデザイナーで在宅で仕事をしている為、留守を狙うのは難し過ぎて諦めている。

駿介はもちろん、涼介君だって経済的に立派に自立している。それでも2人揃って実家住まいなのはひとえにお祖母様の為だ。
昔から暖かで仲の良い家族だったけれど、そんなところからも2人の優しさとお祖母様への思いが分かる。

「だって‥‥なんか言われるの嫌なんだもん。痛くもない腹を探られるっていうか、さ」

「そうやって顔色伺うような行動するから、更に言われるんだよ。何にもやましい事してないんだから堂々としてろ」

「駿介は直接言われないから‥‥」

はぁ、とため息を吐いて口を閉じた。どうせこれ以上言っても駿介は理解してくれない。

親戚とはいえ適齢期の男女が仲良くしすぎるのは良い事ではないとかなんとか、グチグチ言ってくる一族のジジババ達が鬱陶しい事は事実だけど、私がプライベートで駿介との接触をなるべく避けているのは私自身の問題なんだから。
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