次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
「お店の人だから『ありがとうございます』なら分かるんだけどねぇ」

納得しながらも、何か引っかかる。「普通に考えたら」?じゃあ、普通に考えなかったら?

「そんな事より、もっと気にする事があるんじゃないか?」

駿介の言葉で、深くなる前に思考が止まってしまった。

「気にする事って?」

「敏彦と睦子叔母さんだよ。気にならないのか?」

ちょっと呆れた口調に苦笑してしまう。

「ホントだ。気にしないと、だよね。で、どうなったの?」

わざわざ駿介がこの話を振ってきたのだ。当然答えは持ってるんだろう。

「親父からかなりキツく注意を受けたからな。しばらくは文香の前はもちろん、一族が集まる場所に顔は出せない」

「それって睦子叔母さんの旦那様も?」

確か物静かで穏やかな人だったはずだ。派手な実績はないけれど、ランドホテルを堅実に経営している現社長でもある。
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