次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
急かされて、バタバタと部屋を出た私が乗ったのは駿介の愛車。この助手席にまた座れたのだと、心の中で喜びに浸る。

「駿介、車で来てたんだね」

「ああ、昨夜は急いでたからな」

滑らかな動作で運転する駿介の横側を見ながら、ふと疑問が浮かんだ。

「ね、どうして分かったの?昨夜、私が敏彦さんとランドホテルのレストランにいるって」

「ん?言ってなかったか?」

「聞いてないよ。あっ、それとね、もう一つ気になることもあるの」

「気になる事?俺の事でか?」

「駿介の事か私の事か分からないんだけどね。昨夜、駿介と一緒にレストランを出る時、支配人の口の動きが『おめでとうございます』って動いてたの」

「おめでとうございます?」

「そう、おかしいでしょ?敏彦さんが大きな声出してたし、あんな場所でもめちゃって迷惑かけたと思うのに『おめでとう』って」

「まぁ、普通に考えたらそうだな」

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