次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
常務室を出たあの後、御機嫌が悪いままの駿介は業務命令という名のワガママを投下したのだ。

それによって、今日の私のアフターファイブは消滅した。
今日は久しぶりに定時退社して、1人でゆっくりとウィンドウショッピングでもするつもりでいたのに。

思い出してはぁ、とため息をついた私の向かい側で、湊がやっぱり面白いそうに笑っている。

「ま、愛されてるんだと思って諦めなさい。殿からの愛情の種類については私と文香の認識は違うけど、愛情である事は間違いないんだからさ」

言いたい事だけ言って、運ばれたばかりの日替わりランチに「いただきまーす」と箸をのばす湊を見ながら、私はもう一度ため息を吐いた。













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